相続税対策で不動産を購入する方法とリスク

相続対策の知識

相続税対策で不動産購入

相続税対策で不動産購入

相続税対策として不動産を購入する人は少なくありません。
アパート・マンションなどの一棟もの不動産、都心のタワーマンションなどが相続税対策目的で購入されています。

財産が多いほど相続税は高額になりますが、財産の評価額を下げる相続税対策によって節税ができます。
評価を下げるのに有効な相続税対策が「不動産」です。

現金と不動産の評価額を比較すると分かりやすいと思います。
現金の場合、額面額がそのまま評価額になります。

たとえば、現金が1億円ある場合、その評価額は1億円です。
不動産の場合、評価額を下げることができるため、現金をそのまま相続するより不動産を購入した方が相続税を節税できます。

このページでは、不動産購入による相続税対策とリスクについて解説しています。
ぜひ参考にしてください。

不動産購入による相続税対策は相続税評価額と市場価格の差を利用

不動産購入による相続税対策は相続税評価額と市場価格の差を利用

不動産購入が相続税対策として有効な理由は、相続税評価額が低い不動産を購入することが可能だからです。
例えば、都心タワーマンションの高層階は市場価格よりも相続税評価額が圧倒的に低いため、相続税対策としてタワマンを購入する富裕層が続出しました。

この節税方法は国税がタワマンの評価額算出方法を変更したため有効性が低くなりましたが、不動産購入による相続税対策の王道は現在でも有効です。
特例や評価方法によって不動産の評価額を下げる方法です。

路線価方式による不動産評価

相続税の計算をするときは、用途ごと(宅地・田・畑・山林など)に土地を評価します。
土地の評価方法には、路線価方式と倍率方式があります。
路線価は、実勢価格の70~80%が目安とされています。

路線価とは、市街地などの道路に付けられた価格のことで、道路に面する標準的な宅地の1平方メートルあたりの価格を、千円単位で表示しています。
その年の路線価は、国税庁が毎年7月に公表される路線価図で調べることができます。

土地の評価額は、対象となる土地の路線価を、土地の形状等に応じた補正率で補正し、その土地の面積を掛けて計算します。

路線価による評価額 = 路線価(千円/㎡) x 補正率 x 土地の面積

補正率は、宅地の形状、(間口が狭い、奥行きが長い、不整形地、がけ地など)や、道路との関係(道路からの奥行き距離、道路に面する方向など)、地区区分(普通住宅地区、繁華街地区、ビル街地区など)などによって異なります。

倍率方式による不動産評価

路線価が付いていない地域では、倍率方式によって土地を評価します。
その土地の固定資産税評価額に、一定の倍率を掛けて計算します。
固定資産税評価額は、市区町村役場(東京23区は都税事務所)で確認できます。

倍率方式による評価額 = 固定資産税評価額 x 倍率

路線価図や評価倍率表の見かたは、国税庁のホームページで閲覧できます。

参考:https://www.rosenka.nta.go.jp/

相続税対策で不動産の評価を下げる方法1.土地を貸借地にする

相続税対策で不動産の評価を下げる方法1.土地を貸借地にする

土地の評価は、利用形態によっても異なります。
自分が使用する土地(自用地)か、有償で貸している土地(貸宅地、貸家建付地)か有償で借りている土地(借地権、定期借地権)かによって計算方法が変わります。

無償で貸借している場合は、自用地として評価します。

貸している不動産(土地)の評価

貸宅地

借地権が設定された土地。

貸宅地の評価額 = 自用地の評価額 x (1 – 借地権割合 )

貸家建付地

所有する土地に貸アパート、貸マンション、貸家などを建て他人に貸している土地。

貸家建付地の評価額 – 自用地の評価額 x (1 – 借地権割合 x 借家権割合 x 賃貸割合)

借りている不動産(土地)の評価

借地権

土地を有償で借りて、自分が所有する建物を建てられる権利。

借地権の評価額 = 自用地の評価額 x 借地権割合

定期借地権

期限が決まっている借地権、満了後は貸主に土地を更地にして返還しなければならない。

定期借地権の評価額 = 自用地の評価額 x 定期借地権割合 x 逓減率

借地権割合は、路線価図や評価倍率表に記載されています。

小規模宅地等の評価減の特例で不動産の評価を下げる相続税対策

被相続人が、居住用(自宅)、事業用、貸付事業用として使っていた宅地は、一定の要件を満たすと評価額が減額されます。
これを、小規模宅地等の評価減の特例といいます。

特例を受けるためには、原則として、相続税の申告期限(被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内)までに相続財産が分割されていなければなりません。

宅地の区分 限度面積 減額割合 相続人
特定居住用宅地
(自宅の土地)
330㎡ 80%
  • 配偶者(申告期限までに売却してもよい)
  • 同族親族(申告期限まで所有・居住していること)
  • 持ち家のない別居親族
    (相続開始3年以内に、自分または配偶者の持ち家に住んだことがなく、申告期限まで所有していること)
特定事業用宅地
(会社・工場の土地)
400㎡ 80% 事業を引き継ぐ親族
(申告期限まで所有し、事業を引き継いでいること)
貸付事業用宅地
(アパート・駐車場などの土地)
200㎡ 50% 貸付事業を引き継ぐ親族
(申告期限まで所有し、貸付事業を引き継いでいること)

相続税対策で不動産の評価を下げる方法2.建物を貸す

相続税対策で不動産の評価を下げる方法2.建物を貸す

建物の評価は、1棟ごとにおこないます。

居住用や事業用として自分で使用している建物(自用家屋)の評価は、固定資産税評価額を1.0倍を掛けて評価します。
そのため、固定資産税評価額が建物の評価額となります。
固定資産税評価額は、実勢価格の70%が目安とされています。

建物の評価額 = 固定資産税評価額 x 1.0

建設中の建物は、固定資産税の評価額が付けられていないため、その家屋の費用現価の70%の金額で評価します。

建築中の建物の評価額 = 費用現価の額 x 70%

有償で貸している建物は、自用家屋よりも評価が下がります(無償で貸している場合は、自用家屋として評価します)。

貸家の評価額 = 固定資産税評価額 x (1 – 借家権割合 x 賃貸割合 )

借家権割合は、全国一率30%です。

相続税対策で不動産を購入するリスク

相続税対策で不動産を購入するリスク

不動産を活用することにより、さまざまなな方法で相続税対策を行うことができます。
反面、財産のほとんど(またはすべて)が不動産である場合、財産を分けることができない、現金不足で相続税を支払うことができないなどのリスクもあります。

借入で収益不動産を購入する場合、思うように賃借人を募集できないと家賃収入を得られず、借入返済できなくなるリスクもあります。

実際、相続税対策で不動産を購入して破綻するケースは少なくありません。
収益不動産の運営は、不動産賃貸業という事業であり経営です。

相続税対策で不動産を購入する場合、事業リスクを伴うことを十分に認識しておく必要があります。
不動産業者、サブリース会社の提案を鵜呑みにせず、税理士などの専門家にも相談することをおすすめします。

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