相続税対策に生命保険がおすすめな理由

相続税対策として生命保険をおすすめされることは多いのですが、どのような効果があるのでしょうか?
相続税対策に生命保険がおすすめな理由は以下の3つの効果によるものです。
- 相続税評価額の圧縮(生命保険金非課税枠の活用)
- 納税資金の確保
- 代償分割
それぞれ、どのようなものなのか解説していきます。
このページでは、相続税対策におすすめの保険商品、デメリットや注意点についても紹介しているので参考にしてください。
相続税対策に生命保険がおすすめな理由1.非課税枠の加算
被相続人が亡くなると、財産は相続人に引き継がれます。
相続財産には、被相続人が所有していた財産(現金、預貯金、株式、不動産など)と、被相続人が亡くなることによって相続人のものとなった財産があります。
後者をみなし相続財産といい、「生命保険金」や「死亡退職金」が該当します。
みなし相続財産は、支払われた段階で相続財産となります。
みなし相続財産の非課税限度額は、相続税の基礎控除額とは別枠であるため、現金や預貯金でお金を残すよりも生命保険で残すほうが、相続税対策ができます。
死亡保険金や死亡退職金は、被相続人が亡くなったあとの遺族の生活を守るために支払われるお金であるため、一定の非課税限度額が設けられています。
つまり、以下のように「基礎控除 + 追加非課税枠」の合計を相続税評価額から控除できるわけですね。
生命保険による相続税の非課税枠加算の例
相続人:妻、長男、長女の3名
相続財産:5,500万円(預金1,500万円、不動産3,000万円、生命保険1,000万円)
生命保険契約者:夫(被保険者は夫、受取人は妻または子)
相続税の基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 x 3 ) = 4,800万円
生命保険の非課税限度額 = 500万円 x 3 = 1,500万円
合計控除額 = 6,300万円
相続財産5,500万円に対して、合計控除額6,300万円(基礎控除額4,800万円 + と生命保険非課税限度額1,500万円)内におさまるため、相続税はかかりません。
生命保険による相続税の非課税枠がない例
相続人:妻、長男、長女の3名
相続財産:5,500万円(預金2,500万円、不動産3,000万円)
生命保険契約者:夫(被保険者は夫、受取人は妻または子)
相続税の基礎控除額 = 3,000万円 + (600万円 x 3 ) = 4,800万円
合計控除額 = 4,800万円
相続財産5,500万円に対して、合計控除額4,800万円(基礎控除額4,800万円)となり、財産が控除額を越えてしまうため相続税がかかります。
相続税対策に生命保険がおすすめな理由2.納税資金の確保
生命保険は受取人の指定ができるので、相手を指定して保険金を残すことが可能です。
これを利用して相続税の納税資金を確保する対策が可能です。
相続人:妻、長男、長女
相続財産:預金3,500万円、株式1,500万円、土地4,000万円、生命保険1,000万円
生命保険契約者:夫(被保険者:夫、受取人:子)
上記の財産を妻と子で1/2ずつ分ける場合、妻には配偶者の税額軽減の特例があるため、相続税の負担はなくなります。
生命保険の受取人を子にすることで、子の相続税額を減らすことができます。
また、相続税が生じる人を受取人にしておくことで、保険金を納税資金として利用することもできます。
株や不動産は納税には使えないので、生命保険は現金確保の手段として効果的です。
相続税対策に生命保険がおすすめな理由3.代償分割
相続財産が少ない場合であっても、相続税対策に生命保険の活用が有効です。
たとえば、相続財産が不動産のみである場合を考えてみましょう。
相続人:長男、長女、次女
相続財産:不動産(自宅)3,000万円
相続財産は、基礎控除額(4,800万円)の範囲におさまるため相続税はかかりませんが、相続人3人で財産を分けることができません。
長男がすべての財産を相続すると、長女と次女には相続できる財産が残らず、兄妹間で不公平が生じてしまいます。
不動産を売却するとしても、希望どおりの値段で売れるとは限りません。
このような場合に、契約者:母、被保険者:母、受取人:長男の契約で生命保険に加入しておくと、長男は保険金を原資として、長女と次女に代償金を支払うことができます。
代償金を支払っておこなう遺産分割を代償分割といいます。
相続税対策におすすめの生命保険商品

生命保険にはさまざまな商品がありますが、相続税対策に使えるのは「終身保険」です。
終身保険とは、死亡したら保険金が支払われる生命保険で、保障が一生涯続きます。
人はいつか必ず亡くなるので、絶対に死亡保険金が支払われます。
終身保険は、支払われる保険金額が支払った保険料の総額よりも大きくなるため、資産を増やすこともできます。
(ただし、途中で解約すると元本割れが発生します)
「資産形成」と「相続税の節約」を同時に実現できるのが、終身保険です。
生命保険による相続税対策のデメリット

上記の例でみたように、生命保険を利用した相続税対策には、以下の3つの効果がありますが、デメリットや注意点も存在します。
- 相続税評価額の圧縮(生命保険金非課税枠の活用)
- 納税資金の確保
- 代償分割
生命保険で相続税対策するデメリット1.健康状態の審査がある
生命保険による相続税対策は誰でも出来るわけではありません。
生命保険には加入時の審査があり、年齢や健康状態によっては加入できないこともありますので注意が必要です。
生命保険で相続税対策するデメリット2.一時払い終身保険の終了
最近では、マイナス金利の影響から、相続税対策として人気が高かった一時払い終身保険の売り止めや保険料の引き上げが相次いでいるので注意が必要です。
相続税対策として生命保険を利用するには、できるだけ若くて健康なうちから対策をはじめておくことが大切です。

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